先日弓の練習を終えて帰り仕度をしていたら、スーツを着た若いビジネスマン風の男が向こうから歩いて来る。
弓の練習場には不釣り合いな格好。
「ハーイ、トム」と声をかけて来たが、それが「マシュー」だと直ぐに気が付かなかった。
マシューは彼が14〜15歳くらいの頃に我がクラブのジュニアとして練習しているのを見て、僕はオーストラリアを代表するアーチャーになる可能性を感じ、色々教えたりヘルプしたりしていた。
まだ可愛い坊やだったので、僕の車で彼を連れて他の練習場に連れて行くのにも、「僕のワイフを一緒に連れて来た」事もあった。
なぜワイフも来る必要があったか。
それはオーストラリアでは子供(男の子でも)が大人に性的な虐待(イタズラや酷い時にはレイプ)を受ける可能性があるので、誤解を招かないように僕と彼だけで車でどこかに行くというのは避けるためにワイフも同乗させていた。
話が飛んでしまいました。
その後彼は順調に上達し、オーストラリア代表として18歳くらいから海外トーナメントに遠征するまでになった。
しかし残念ながらゴルフやテニスなどと違って、オーストラリアを代表する程のレベルになってもそれでは食っていけない。
なので彼は大学受験を控えて、弓を止め受験勉強をするためにクラブで見かける事は減ってしまった。
彼は僕と同じように車好きの少年、当時僕が乗っていたメルセデスAMGやニッサンGT-Rに興味津々なので横に乗せてあげたり、練習中の会話でも車の話が多かった。
それから数年、最近は僕もスペインに長く住んだりしていて、彼とはすっかり会う機会が無かった。
そのビジネスマン風の男がマシューと知って、僕はかなりショックを受けてしまった。
そうなんです、彼のイメージは「可愛い男の子」だったのに、目の前に立っているビシッとスーツを着た男がそのマシューって、僕がヂヂイになっているのを目の当たりにしているようでしょ。
で、彼曰く「トムが最近テスラに乗っていると聞いた。」とイキナリ車の話に。
どうやら彼は今就活中で、その日就職の面接に行った帰りだった。
面接を受けた会社がアーチェリークラブの近くだったので立ち寄って僕を見つけたらしい。
車好きの彼はその日BMWの販売会社に就職するために面接を受けたと話してくれた。
テスラに乗った事がないというので、僕は彼を連れて周辺をドライブした。
自動運転のデモや加速の凄さなどを紹介した。
運転しながら僕は自動車販売会社に就職するのは「もう少し良く考えた方が、、、」と彼に話した。
22歳の彼にとってはまだ長い未来が有る。
彼が40歳になる前には車の社会状況が大きく変わっている。 下手すると人間の運転する車は販売されていない可能性もあると僕は思っている。
そんな先細りどころか存在さえ怪しい「商品」を販売する職業に就いて、そこでいくら経験を積んでも明るい将来は無い。
彼が結婚して家庭を持ち、子供を育てるというような年齢になる時には、どうなっているか分からない様な業種は避けるべきだと話した。
僕が彼の年齢だった1960年後半から1970年代にかけては時代の花形だったが、もう時代は大きく変わっている。
同時に自分の年齢も感じてまたまた例の軽い鬱状態が出ている。