US オープン女子決勝。

USオープンの大坂選手優勝から一夜が明けて、僕は色々考え続けている。

僕がテニスの試合を見始めて40年を超える。
1974年にロンドンに住み始めてから、BBCでウインブルドンの中継を観たのがキッカケで、自宅近くのホランドパークやアールズコート近くの花屋の裏にあったコートでプレーもするようになった。

1980年の終わりにオーストラリアに引っ越して、娘がテニスを始め、ジュニアのトーナメントに出るようになった約30年前くらいから、テニス観戦時の「見方」が変わった。
それはトーナメントに出場している選手の親として、試合中の動き、駆け引き、心理的なものなど全てが勝敗につながるという、つまり自分の娘の成績を左右するので、親としてもとても真剣になったのは当然の事だった。

コーチがいちいち試合について来て試合内容をアナライズする訳ではないので、親しかアドバイスする人間がいないのですから。

けっきょく、娘はプロにならなかったが、当時からの(真剣に)試合を観戦する僕の「見方」は変わっていない。
オーストラリア時代は本当に多くの試合を観戦に出かけた。

我が家にはオーストラリアを代表して世界大会に行くようなジュニアがよく宿泊していた。
自宅にテニスコートがあったので、才能あるジュニアも練習に来ていた。
当時お父さんの赴任でオーストラリアに住んでいた日本人のジュニア選手、「寺地貴弘」君も練習に我が家に来ていた。
寺地君はその後日本に戻り、プロとなって全日本選手権にも優勝したと聞いている。

当時オーストラリア各州からシドニーに招集された代表選手をビレティング(寄宿させてあげる)も引き受けていたので、オーストラリアトップクラスの選手の親代わりになって試合会場に連れて行き観戦していた。

近くにニューサウスウェルズ・オープン(シドニー・オープン)の会場も近かったので、テニス協会から発行されたパスでほとんど全ての試合を観に行っていた。
シドニー・オープンが終わると翌週からはメルボルンに飛んで全豪観戦というのが毎年夏の決まり行事のようなものだった。
試合会場で観戦した試合数だけでも一体どのくらいになることやら。

長々と書いてしまったが、そんなに長年真剣にテニスを観戦しながら、いつまで経っても四大大会を優勝するような日本人選手が出てこないというさみしさはずっと感じていた。

錦織選手が2014年にUSオープンの決勝に進出した時には、「ついに、長年の夢だった事が僕の生きているうちに目の当たりに出来るのでは」と興奮した。
残念ながら後一歩で実現はしなかったが、その後の彼の怪我などを見ていると、だんだん可能性が遠のいているようで、フォーミュラ1で日本人ドライバーが優勝するのと、テニスの四大大会で優勝するのを見るチャンスはもうほとんど無いのではと思っていた。

インディアンウエルズで大坂選手がプロツアー初めての優勝をしたというニュースは素晴らしいとは思ったが、それがそのままUSオープンへの期待には僕自身の中では繋がらなかった。
ツアー2度目の優勝が四大大会なんて、普通は考えられないから。

まして彼女の昨年までの試合を見ていると、「精神的な安定性』がまだ若いので当然弱点で、四大大会のように128選手から始まり7試合も全て勝ち抜くのは至難の技だと思っていた。

しかし新しいコーチによって大きな変化が起きたようです。
今回のUS オープンを観ていて、精神力の強さ、集中力、が僕には「最も感心した」部分です。

ちょっと話が飛びますが、悪童で有名なオーストラリアのニック・キリオス選手。
類稀な才能と素晴らしい身体的アドバンテージを持ちながら、未だ四大大会優勝なんて全く手が届きません。

誰が見ても世界ランキングトップ4に食い込める資質を持っているのに、精神的安定性の無さで棒に振ってしまっている。
本当に残念でもあり「もったいない」。

僕は彼のファンではないですが、こう感じるのは僕だけではないようで、先日のUSオープン中に「異常な事」が起こりました。
確か二回戦を戦っている時に、立ち上がりから調子が悪く第1セットを落とし第2セットもリードされいきなり「キレ」てしまったのです。
彼の場合はそれが極端に出ます。
なんと試合中に相手のサーブを受けるのにラケットを出さないという行為を始めゲームを落としたり。

これを見た審判は何と審判席の椅子から降りて来て、コートチェンジの休憩中で椅子に座っているキリオス選手の所に行き、「励ました」のです。
こんな事はテニス史上初めての事だと思います。

コーチがやっても違法(今回のセレーナのコーチのように)な事ですが、その審判は「君はプロとしてこの大会に出場している。会場にはお金を払って観戦に来ている沢山のお客が良い試合を期待しているのは君も分かるはずだ。 そのような態度を続けないで試合に集中したらどうか」と説得したのです。

今までの慣習なら、公平な立場の審判はふてくされている選手にはそのまま無視で、「そんな態度なら、ハイどうぞ負けて当たり前でしょ」という姿勢でした。
これが当たり前なわけです。
けっきょくキリオスはその後立ち直りその試合を挽回し勝ちます。
考え方によっては相手選手には不公平だったかもしれません。

僕がここで言いたいのは、審判(今のプロテニスツアーで最も信頼をされ権威もある有名な審判です)でさえ、溢れるほどの才能を持つキリオスが精神的な問題で結果を出さない事に、残念に感じているからこその行動だったと思います。

その後この審判には批判が出ていましたが、テニス協会がどういう処置をしたのかはよくわかりません。
審判の名前はモハメド・ラヒアーニ(リャヤーニ)、セレーナの試合で審判を務めたラモスと共に現在最も権威ある素晴らしい審判です。

話が回りくどくなったのは、あの騒然とした異常な雰囲気と、完全アウェイの中で、大坂選手が集中力を切らさず、大事な場面で素晴らしいサーブを決めた能力を「褒め称え」たいからです。

上で書いたキリオス選手のように才能が有りながら結果に結び付かないのを見ていると余計に大坂選手の今回の活躍が印象深いです。

書きたい事は山ほど有りますが、明日に。

追記
日本のネット記事を見ていると、普段テニスの試合はほとんど観ていないのに、(新聞記者 )プロとして大坂選手の優勝やセレーナの引き起こした騒動について書いている人が何人かいますが、結構間違った内容があるので驚いています。

例えば「コーチングでペナルティーを受けるのを見たことが無い」なんて書いている方がいますが、それほど多くの試合を観た経験が無いのでしょう。
僕は何度も見ていますし、僕は今スペインなので、観戦しているテレビの解説者はマッツ・ビランだーなのですが、彼自身も引退後ある選手のコーチをしている時に試合中のコーチングでウォーニングを与えられたことがあると告白していました。

なのでコーチングに対するウォーニング発動は珍しくは無いのです。
そしてこれも誤解ですが、それはあくまでもウォーニング(口頭注意)なのです。
つまりセレーナがその数ゲーム後に他の理由でラケットを叩き割らなければ、ワンポイントペナルティーは取られていないのです。

あれだけ経験のある選手なのですから、ウォーニングを2つもらうとワンポイント・ペナルティになるというのは知っていて当然です。

そしてペナルティを受けた後にまたルール違反をすると今度はワンゲームペナルティになるというのも規則で決まっている。
つまり彼女はそれらのルールがあるのを知りながら自ら自滅してしまったのです。

どうしてそんな状態になってしまったか?
大坂選手が自分を上回るテニスをしていて、このままでは負けるというプレッシャーを感じていたからです。

確かに第1セットからサーブは入らないし、アンフォースドエラーも出ていて、イライラしていたのはわかりますが、グランドスラムに23回も勝っている選手なら自分をコントロールする方法も知っているべきです。

男子はしょっちゅう暴言を吐くのに私がペナルティーを受けるのは男女差別だとかまで言っていますが、全くのお門違いです。
暴言で有名なマッケンローは全豪で暴言を吐き続けて、試合を失った事も有ります。
そうです、その場でマッケンローの負けが決まってしまったのです。

そんなに昔から厳しく決められているのですから、ワンゲームペナルティなんて軽い処置だったと見るべきだと思います。

書き出すと止まりませんね。
残りは明日という事で。

admin について

海外生活51年の「浦島太郎」状態のおじさん(いやもうジジイですね)がやっています。 1974年に東京からロンドンへ。 現在はシドニー在住です。 2017年から年に半分はバルセロナに住み始めオーストラリアとスペインの間で渡り鳥人生。 海外に住んでみたい、老後は海外でリタイヤと考えている方にお役に立てれば 幸いです。(フロントページにある景色は我が家から見えるシドニーハーバーです。 シドニーの中心街や右手にハーバーブリッジやオペラハウスが小さく見えますでしょうか) 私に連絡を取りたい方は上のプロフィール内にあるようにFBのメッセンジャーをお使いください。
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