観光客ゴーホーム

今年のエジプト旅行で一緒だったアメリカ人のジェームスからクリスマスの挨拶メールが来て、その中に「来年はバルセロナ方面へのホリデーを考えているが、バルセロナの人々がオーバーツーリズムに腹を立て観光客へ水鉄砲などでの嫌がらせ行為が起きているらしいが、実際にバルセロナに住むトム達は目にしたことがありますか?」という問いが書かれていた。

シカゴに住むジェームスも聞いたことがあるということはアメリカでも報道されているのを知ったのだが、僕は日本にいる友人からも同様の問い合わせを受けたことがある。

ジェームスへの返事を今日の日記にも書いておきます。

まず最初に僕はエンシャンプラという、まさにバルセロナの中心地という場所にあるアパートに毎年半年近く(特に観光シーズンを中心に)暮らしているが、スペイン人が歩道にあるカフェのテーブルに座っているような観光客に水をかけるなどの行動を起こしているのを見たことは無い。

起きていないとは思わないが、少なくとも頻発しているような状況では無い。

バルセロナは世界三大オーバーツーリズム都市だと思うが、ということは少なくともバルセロナ周辺に住むスペイン人は観光収入のおかげで潤っているのは事実。

しかしスペイン人の不満も僕もわからないわけでは無い。
バルセロナ市内のアパートの家賃が高騰し若い人が住めないなどの問題以外にも僕にとっても人気のあるレストランなどは予約が取れなくなってしまったり、昼間の比較的空いている時間帯でもバスの座席は観光客が沢山で座ることも出来ないなど。
地下鉄に乗っても乗客の半分以上は観光客ということもしばしば。

特に僕は有名なグラシア大通りと世界遺産サグラダファミリを結ぶ線の真ん中あたりに住んでいるので、周辺を歩く観光客は多く、スペイン人にさえサグラダファミリへの行き方を自宅前で聞かれたりする。
そうなんです、観光客は外国人だけでなく同じスペイン人もいるのです。
東京の人が京都に行くように。

で、僕の経験で唯一「反観光客」的な経験をしたのは、前の日記にも書いたと思うが、ある年シドニーからバルセロナに到着しタクシーで自宅アパートの前でスーツケースを下ろしていたら、そこを通りかかった中年のオバサンが英語で「ツーリスト・ゴーホーム」と言って通り過ぎて行った。

その場でそのオバサンが立ち止まって文句を言っているなら、僕らが観光客ではなく居住ビザを取得して毎年ここに住んでいると反論は出来たのに、そのオバサンは文句を言いながら通り過ぎて行ってしまったので追いかけることもしなかった。

僕自身が受けた経験は7年間以上住んでそれがただの一回で、それも諸外国に「反観光客デモ」なんていうニュースが伝わる数年前のことだった。

それと僕らがたまに行くバルセロナのグラシア大通りの上に位置する「グラシアビレッジ」という地区では「ツーリスト・ゴーホーム」の落書きは何度か目にした。

そもそもグラシアビレッジはそれほど観光客も多く無いし、なぜそんな場所に落書きをするにだろう、たいして観光客に対する効果も無いはずだしと僕は見ていた。

じつはグラシアビレッジって比較的高齢な地元民が多い印象で道幅も狭くまさにビレッジ(村)って感じで、だからこそ観光客が多く来ることに危機感を持っているのかもと。

じつはそのグラシアビレッジには僕らが長年贔屓にしていた伝統的なカタロニア料理専門店があり、友人がバルセロナに訪ねて来るたびにお連れしていた。
その店は観光客はほぼゼロの店でメニューもカタロニア語、働くスタッフもたった1人を除くと全員英語も出来ない。

しかし何とその店が今年の7月前だったかに「廃業」してしまったのです。
今年6月だったかにシドニーのお隣さんがバルセロナに遊びに来たのでお連れしようと予約の電話を入れたら誰も出ない。
翌日かけても出ないのでこれはおかしい何が起きているのだろうと店に行ったら目にしたのは廃業のお知らせの貼り紙だった。

驚いてすぐ近くに住むこの店を教えてくれたスペイン人の友人に電話をかけて聞いたら、オーナーはもう高齢でこれ以上続けるのは無理だと廃業を決められたと。
誰も継ぐ人はいなかったの?と言ったら、彼の子供は別の職業に就いているし、オーナーの下で働いていた人も場所的に地元民しか来ない裏通りなので魅力を感じなかったのでビジネスを引き継がなかったのではないかと。

そうなんです、つまりコロナ禍のダメージや物価の高騰もあり観光客がいるからこそ潰れない店が多い中でこのようなビレッジのそれもまた狭い裏通りにある店は観光客の恩恵を受けないからこそ継ぐ人が見つからないということになってしまう。

なので僕としては観光客が多過ぎるのも迷惑だとも思うし、同時にある程度観光客景気にも携っていないと難しいのかなあと複雑な心境にもなります。

その消滅してしまった店の名前は「Goliard 」といいずっと僕の思い出に残っていくでしょう。
初めて紹介されて出かけた時の「メニュー・デ・ディア(昼食セットメニューだがいくつかの中から選ぶ)」の当時11ユーロでビールかワインで始まり前菜からメインディッシュ、そしてデザートでこんなに美味しいコース料理が飲み物も全て含み11ユーロなんて!という衝撃は今も忘れられないですね。

admin について

海外生活51年の「浦島太郎」状態のおじさん(いやもうジジイですね)がやっています。 1974年に東京からロンドンへ。 現在はシドニー在住です。 2017年から年に半分はバルセロナに住み始めオーストラリアとスペインの間で渡り鳥人生。 海外に住んでみたい、老後は海外でリタイヤと考えている方にお役に立てれば 幸いです。(フロントページにある景色は我が家から見えるシドニーハーバーです。 シドニーの中心街や右手にハーバーブリッジやオペラハウスが小さく見えますでしょうか) 私に連絡を取りたい方は上のプロフィール内にあるようにFBのメッセンジャーをお使いください。
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