日本では僕が子供の頃から「タンス預金」って当たり前にどこの家でもやっていたイメージがある。
それと女房のヘソクリって名前の隠し預金。
僕の育った家はいわゆるサラリーマンの家庭で、オヤジが月末に持って帰る月給袋をそのまま母に渡し、その中から毎月の生活費をやり繰りする、そして余れば母のヘソクリになるのか銀行に預けるのか子供だったので詳しく聞いたことは無かったが、まあそんなものだったと思う。
日本で特殊詐欺に遭う高齢者は自宅のタンス預金などが狙われて、その額がオーストラリア人には考えられないほどの高額の場合がある。
日本では銀行の金利が欧米に比べて極端に低い時代が長く続き、どうせ銀行に預けても大して利息なんか付かないのだからとタンス預金をする人も多かったのだと想像する。
脱税で得た金なので銀行に入れると足がつくとか、日本の高い相続税対策もあるかも。
日本全国でいったいいくらのタンス預金が眠っているのか想像すら出来ないがしかしそれが全て銀行預金や投資に向けられていたら日本の経済も現在とは違った展開を見せていたかも知れない。
そんなことを考えていたのは欧米では新しいベンチャー企業に山のものとも海のものつかない段階で何百億円という投資をするのが全く珍しく無く、その内の何割か何パーセントかでも成功すれば、投資した価値があったと考える余裕のある超金持ちや投資グループが数多く存在するのだと知ったのだが、日本の事情(投資家事情)とはかなり違うらしい。
というのも我が娘が「オゼンピック」という、本来は糖尿病の治療薬だったものの開発に従事し、その薬が治験においてダイエットに物凄い効果があるということが分かり、イーロンマスクがXでつぶやいたりで、糖尿病患者では無い人まで使用するようになった。
特に肥満の多いオーストラリアでは痩せたいがためにこのオゼンピックを闇で取引したり違法な方法で手に入れたりで、闇価格が数百ドル(数万円)なんてニュースにもなっていた。
当然オゼンピックを販売するノーヴォ・ノルディクス社は販売に生産が追いつかない状態。
娘の働いていたこの会社はデンマークで最も企業価値の大きい会社から、あっという間にヨーロッパでも一番になり、世界企業番付でもトップ10位前後辺りまで上り詰めた。
ただし最近はアメリカの競合製薬会社が特許切れに伴い同類の医薬品を発売始めたので、株価がある程度下がり企業ランキングもだいぶ下がっているらしいが。
さてオゼンピックの開発も終了し、娘はその会社を2年ほど前にヘッドハンティングされて別のデンマークの製薬会社に移ったのだが、そこで一年ほど働いていたらノーヴォ・ノーディスク時代に一緒にオゼンピック開発に関わっていた部署の上司が新しいベンチャー企業設立に参加し、娘を誘った。
娘は最初にヘッドハンティングされて移った先の製薬会社が自分の得意分野とちょっと違ったのもあって、とてもウマがあった昔の上司からの誘いということもあり立ち上がったばかりのそのベンチャー企業に移った。
全く株も公開されていない新たに始まったそのベンチャー企業に移る際には娘はだいぶ迷ったらしく、普段は滅多に相談などしてこないのに珍しく僕にビデオ電話で意見を聞いて来た。
せっかく良い給料でヘッドハンティングされて移ったのに、元の上司からの誘いとはいえ果たして成功するかどうか分からない会社で働き始めたらその会社が上手くいかず突然明日から収入ゼロという事態も考えられるので迷っているらしい。
僕は製薬分野には全く知識も無いし、製薬ベンチャー企業についての知識などゼロなので、決断は自分ですべきだが、万が一その会社が潰れても次に何処か他の会社に就職するまでの間は僕が生活費の一切を面倒見てあげるから、収入の不安で決断を躊躇するべきでは無いと言っておいた。
けっきょく娘はそれで多少安心したのかそのベンチャー企業に移り今日に至っている。
しかし移ってからなかなか計画が上手く進まず、そしてその会社に誘ってくれた上司までが辞めてしまったと聞いて、僕はハラハラしながら見ていた。
上司が辞めてしまった為に娘がその分もカバーせざるを得なくない、それまででもとても忙しかった娘の仕事が前にも増し、シングルマザーをやりながらなので、だいぶストレスが溜まっているのが毎週週末に孫と一緒にビデオ電話をかけてくる時に感じていた。
目にはクマができているし。
その後幸いその会社の新薬開発が順調に進み始めたら、何とアメリカの投資グループが何百億円という額を入れてくれて、今後の開発が一気に加速していくことになったと嬉しそうにクリスマスに知らせて来た。
話を聞いていると、そのような投資グループってアメリカには多いらしい。
その新薬の内容はここでは書けないが、しかし欧米では可能性が少しでも見えれば失敗など全く気にせず凄い額の投資をバンバン投下してくる個人や集団は多いらしい。
この辺が日本では(政府からの援助も含め)ソフトバンク以外はあまり期待が出来ないのかも。
日本の大企業も石橋を叩いても渡らないって感じなのが多いので。
大会社と言ってもサラリーマン社長が多いので自分の代で失敗を犯したくないという人間ばかりなのだと想像します。
タンス預金から全く別の話になってしまったが、日本にも相当額何兆円いや何十兆円もの金が投資に回らず埋もれているのだろうという話からですね。