オーストラリアのテレビ番組で、南オーストラリア州でだいぶ前から行われているマグロの養殖の事をやっていた。
沖でマグロの群れを見つけると網で包囲してそのまま曳航し、巨大な生簀に入れて育てるという方法は確かオーストラリアが世界で最初ではないかと思う。
この方法で巨万の富を手に入れた漁業者がいっぱいいるのが、南オーストラリアのポート・リンカーンというところ。
オーストラリアの街で、人口当たり最もミリオネアーが多いのがここ。
ここで育てられたマグロは「生け締め」をされた後、航空機で日本に送られていると思っていたのだが、この番組を観ていたら生簀から引き上げて船上で生け締めにし、そのままそこで待機している日本の冷凍船に移されて日本に運んでいるのを知った。
つまり海に有る生簀で育てて、一度も陸に上がる事なく日本から来た冷凍船に積まれて全部日本に輸出されているので、オーストラリアの市場に出てこない。
僕らのようなオーストラリアに住んでいる人間には全く回って来ないんですね。
そのような輸送システムだからポートリンカーンから一旦陸揚げしてトラック輸送でシドニーに送るより運賃が安いのか、オーストラリアのマグロなのに日本で買うほうが安いです。
いつも日本に行って価格を見る度に「しらけて」おります。 自分の住んでいるオーストラリアでオーストラリア産のマグロを食べる方が高いのですから。
それはともかく、じつは今オーストラリアでは「人工的に育てた魚を食べないようにしよう」という動きが出ています。
理由はマグロを育てるために凄い量の鰯等の飼料が使われ、海を汚すから。
1キロのマグロの肉を作るのに何倍もの鰯が使われ、食べカスも含め海洋汚染を起こし始めているからと。
タイ国などで行われている海老の養殖もかなり汚染を引き起こすようで、汚染で海老が弱るのを防ぐために餌には抗生物質を混ぜたりしていると書いてあるのを見たことがある。
オーストラリアはマグロだけでなくオーシャン・トラウトもかなり昔から養殖が行われている。
オーシャン・トラウトというのは日本ではあまり馴染みの無い名前だと思うが、見掛けはほぼサーモンで特に切り身だけを見るとその違いがほとんど判らない。
トラウト(鱒ます)といってもかなり大型で、オーストラリアではサーモンよりも高価なのです。
この養殖のオーシャン・トラウトはTetsuya’s の日本人オーナー・シェフ、和久田哲也のシグネチャーディッシュ「オーシャン・トラウトのコンフィ」にも使われていて有名になり、オーシャン・トラウトの品質の向上には和久田氏の貢献が多大です。
価格的にもサーモンよりも上の高級魚で、今は日本にも輸出されていると思います。
ところが日本では食品偽装事件で、メニューにサーモンと書いてあったがじつはオーシャン・トラウトだった時にレストランが謝った事があった。
食品偽装というのは高級食材と謳いながら安い食材にすり替えて儲けを出すというのだと思うが、オーシャン・トラウトってオーストラリアでは一般的にサーモンよりも上の食材なんですよね。
このオーシャン・トラウトの養殖が行われているのはタスマニア島で、僕も船に乗って湾内に浮かぶ養殖用の生簀の見学をした事が有る。
僕の昔の日記にすでに書いたが、サーモンやオーシャントラウトのあの鮮やかな食欲をそそる赤ピンクの身の色はじつは餌の中に赤くなるものを混ぜているからなのです。
養殖ではない天然もののオーシャン・トラウトの身の色は本来「鮮やかな色」ではないのです。
トウモロコシばかりの餌で育てた鶏の身が黄色いのと同じで、オーシャン・トラウトの餌にはニンジンの粉末が混ぜられているのです。
グーグルでこの「色付け」に付いて調べたが、ネット上には出てないですね。
僕はオーシャン・トラウト養殖の現場に見学に行く時に乗った船の船長から人参を使っていると聞いた。
オーシャントラウトの餌は色んなものが混ぜられた錦鯉の餌のような粒状になっていると思います。
タスマニアのオーシャン・トラウトの養殖場が汚染が出ているかどうかは判らないが、あの美味しそうな色が人工的なものだと知った時にはガッカリしました。