僕が生きているうちにはまず破られないだろうと思っていたマイケル・シュウマッハーの91勝というF-1優勝記録を日曜日のポルトガル・グランプリで、ルイス・ハミルトンはとうとう抜いてしまった。
F-1でたった一度だけでも優勝したいと願うドライバーは過去から現在と山のようにいるが、お立ち台にさえ立てず(つまり1位から3位までの表彰台に立てる)に消えていったドライバーが大多数。
今年はコロナ禍で感染したドライバーのためにピンチヒッターのように2度ほど出場しているドイツ人ドライバー「ヒュルケンベルグ」選手にしても、182戦も参戦して一度たりとも3位に入ったことが無い。
このヒュルケンベルグ、素晴らしい才能を謳われながらけっきょく昨年にシートを失なってしまった。
Fー1の歴史の中で、何人もの日本人ドライバーも長年に渡って挑戦したがけっきょく最高は3位。
そんな世界で、マイケル・シュウマッハーが91勝という金字塔を打ち建てた時には、もうとうぶんその記録は破られないだろうと誰もが考えた。
記録更新となった今回のポルトガル・グランプリの勝利を観ていると、ハミルトンの走りがかなり円熟味が増しているのが分かる。
今回のレース、スタート時にソフトではなくミディアムタイヤを履いている上に、気温が予想よりも低く、その上雨がぱらつき始めているような状況で、ハミルトンはとても慎重だった。
ポールポジションからスタートだったが、決して無理せずボッタスとの最初のコーナーでの攻防も慎重で、抜かれてもすぐに抜き返さず。
サインツにまで抜かれても決して慌てず。
3位スタートのフェルスタッペンの様に他のマシーンに絡まず。
公式練習や予選時のグレイニング現象の経験からタイヤを大事に使っての走り。
結局チェッカー時には2位との差を20秒以上つけてのブッチギリで新記録となる92勝目を挙げた。
もう今年のチャンピオン獲得はほぼ決まりですが、このまま順調にいけば100勝も見えてきましたね。
100勝って、当然彼の素晴らしい才能もあるがやはり勝てるチームに在籍しているという「運」などの要素も大きいと思います。
育ててくれたマクラーレンチームを飛び出してメルセデスに移籍した時には多くの人が驚いたが、しかし「機を見る力」もあった。
メルセデスというチームがブッチギリで他のチームを圧倒している時代が長く続いている。
これは同様にマイケル・シュウマッハーのフェラーリの全盛時代と同様な現象だが、メルセデスチームは当時のフェラーリチームと違ってほとんどの場合同じチームの両ドライバーに自由に競走させている。
シュウマッハーはチームメートから何度か優勝を譲ってもらっている。
また同時に強敵のチーム・メートであったニコ・ロスバーグが若くして引退してしまったおかげで優勝を分ける事が減った。
同時にFー1の年間レース数が増えていった。
などなどそういう意味でルイス・ハミルトンが史上最高のドライバーだというのに、ジャッキー・スチュアートが賛同しない理由かもしれない。
彼はファンジオかジム・クラークだと言っていますね。
因みに僕が史上最高のドライバーを選ぶとすると、間違い無く「アイルトン・セナ」だと思っています。
事故死してしまったのでセナの優勝回数はハミルトンとは比べものにならないが、しかしセナの現役当時の彼のマシーン(競争力の無いマシーンに乗っている時期にも優勝している)や当時のライバル達、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセル、ニキ・ラウダ、ケケ・ロスバーグ、ネルソン・ピケ、ミケーレ・アルボレート、エリオ・デ・アンジェリース、etc,etc 驚くほど競争力のあるドライバー達相手に闘っていた。
ちなみに今回のポルトガルグランプリでハミルトンが記録を更新したわけだが、1985年のポルトガル・グランプリでセナは新人として初優勝した。
当時のフィルムを観ると判るが、雨の降る中を上記のそうそうたるドライバー相手に2位でフィニッシュしたマシーンに1分以上の差を付けてのフィニッシュだけで無く、3位以下を全て「周回遅れ」にしての優勝だった。
雨のレースはマシーンの差が減って、ドライバーの実力が見えるようになると言われるが、これだけの差を見るといかに凄かったのかがわかると思います。